僕が毛針を
先日毛針の庭に引っ越したばかりですが、B級と毛針の距離に付いての一考察を....。
僕が毛針を好きになれなかった時間が長くあるのです。
ケッ!
フライなんてよ!
気どるな バ〜カ!
30年ほど前はこのように感じていました。(本音です)
当時B級は釣りもしていましたが、一番の夢はバックパッキングでした。「Out Door」誌
を創刊号から買い求め、ヨセミテやニュージーランドのバックパッキングを夢見る、放浪癖のある高校生でした。
兵庫(瀬戸内側)から島根の方まで歩いたのは高校2年の夏だったかなぁ(ささやかな家出)。
その頃から「Out Door」誌等でもときどきフライフィッシングに関する記事が掲載されていましたが、「異国の釣り」「異人さんの釣り」と言う程度の認識でした。
以前住んでいた兵庫県中部には伝統的な毛針もあるし、何より頭の先から足の先まで「私フライフィッシャーだもんね」的なスタイルがどうしても馴染めなかったのです。
だって目の前の川や近所には菅笠かぶった鮎師や黒板五郎さんのようなカッコイイ釣師があふれていましたから。
カッコつけんな! バーロー!
西洋カブレしやがって!
オ〜 今思えば何て保守的な高校生だったのでしょう。
とは言っても近所で道具を見ることも無く、都会に行っても釣具屋でフライの道具なんて見つけることもできませんでしたから。単なる田舎者のヒガミかもしれません。
「Out Door」誌にフライの記事が載るたびに、「ケッ! こんな記事載せてんじゃネーよ バーロー!! 釣り雑誌じゃねーんだかんな!」と息巻いておりました。
しかし根が釣り好きなものですから、ついつい記事に目を通してしまうと、ライン ロッド キャスト ニンフ ドライ ウエット リーダー ティペット........訳の分からんカタカナばかり。火に油を注ぐ結果に。
ライン???? 糸と言え! 糸と! ザケンナ! バーロー!!
そんなこんなの10年を過ごし、20年前に北海道に移住。
職場の仲間はみんなルアー師。
始めてのルアーは楽しかったです。釣り方は違っても、魚の付く場所は同じですから、ここぞという場所にルアーを通すと「ガツン!」
あの「ガツン!」が病み付きになります。
そんなおり釣り具やの片隅で、ホコリにまみれたフライセットを発見。これがフライの竿かと見ていると、釣具屋のおばさんが、「それ何年も売れねぇんだ。安くしとくよ」との一声。
竿+リール+糸+毛針+小物ゴチャゴチャ=3800円
今見ても納得の「ノークレーム ノーリターンでお願いします」品です。
それでも物珍しくて、ときどき引っ張り出してきていましたが、今のようにフライの本なんてほとんどありません。毛針を飛ばせません。友達が見つけた雑誌等をたよりにやってみましたが一向に上達しません。でもね、フライを巻くのだけは楽しくなりました。(札幌に始めての出張で出かけた時、駅東側の釣り具屋ア●リカ屋で超特価のバイスを見つけ購入)
この頃から近所の釣具屋の片隅にフライコーナーなるものがポツポツ出て来たように思います。(15年ほど前か?)あまり関心が無かったので、気付かなかっただけかも。
相変わらずルアーをぶん投げていたB級ですが、ある時エルクヘアーカディスを巻き巻きし、それを飛ばしに近所の川へ。それまでは、毛針を飛ばせないのでウエットのように下流に流すだけの釣りで、ごく稀に小さな「ウ」が顔をだす程度でした。
ルアー釣りの合間に、フライでも振ってみようかと、良さげなポイント(大きなカーブの内側に木が被さっている)に向かってカディスを投げ込むも無反応。おまけに毛針は枝にかかる。後の水面を叩く。自分の竿に巻き付く。そんなことにホトホト疲れ果て、「やっぱりフライはオモシロくない!」と感じ始めていたときのことです。
どうにか枝の下のポイントに毛針が入るようになってきましたが、水面は無反応。
ポイントを流し終えて、毛針を背後の主流に落とし、竿を担いで「さて、どうしたものか?」とタバコに火をつけているときのこと。肩に担いだ竿がグングン引かれる。
ん..ん.......なんだ??????
手休めに背後に落としたカディスになんとニジマスが食い付いているのです。
おまけに私の目の前を、バシャバシャと跳ねていきます。
ワオ〜 スゲー!!!!!
ドキドキしました。糸が細いので、魚とのやり取りにすごく緊張しました。
手元に寄って来たのは30センチたらずのチビちゃんでしたが、川の中で一人で胸はドキドキ、足はガクガク.....。
あのチビニジがフライへの道を開いてくれました。 感謝の一匹です。
その後もあまりフライは上達せず(あの道具じゃ上達のしようがない)、ルアー中心の何でもアリの釣りを続けてきましたが、フライの魅力は釣りをする度に大きくなってきました。
春のサクラ祭りもずっとミノー勝負でしたが、数少ないフライ友達と同行した時、彼のウエットにパックンパックンつい付くのを見て、試しにやってみたところ、ちびニジとは比べ物にならないアタリが。
こうして病に冒されてしまったのです。
10数年前のことです。
でも、カタカナ嫌い病は今も続いているようです。
カッコつけんな病もまだ心の奥底に巣くっているようです。
先日チミケップホテルの近くでフライを振っていたときのこと。
ちょっと竿を置いて釣り場を離れたときに観光客のおばさんに話しかけられ、ついつい話し込んでしまったときに「建築関係のお仕事ですか?」と聞かれてしまった。
オレは一体どんな恰好で釣りしてんだぁ〜?
ベストは3着目。ウェーダーは2本目。ハットなんかも買ってしまったものの、未だ外でかぶれません。
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