川のにほひ 蜘蛛の糸
川のにほひ その3
命
★夜なべ仕事の友
今、書斎(B級釣り具製造工場)の机の上には小さな水槽があり、2匹のメダカが泳いでいる。
正式にはメダカではなく、カダヤシと言うらしい。ホームセンターで1匹10円で10匹購入した残党だ。
冬の間は屋内の水槽で飼い、間もなく庭の大型プランター(60cm×40cmくらい)に水を張り、ホテイ草などを浮かべて、夏を過ごす。夏場にかなり増殖するものの、何故か秋口に屋内に入れようとするともとの数に近づいている。
理由は簡単。自然しか無いような田舎の庭先でも、いつのまにかプランターの中にトンボが卵を産み、ヤゴが生息している。庭先に街路灯がついたためか、ゲンゴロウがいたり、マツモ虫がいたり、メダカも安心できない。
数年前、プランターの横で小型?のサギがじっと水面を見つめていたのに驚いたことがある。
メダカを買い始めた頃は娘も小さく、プランターを覗いては『アッ! メダカの赤ちゃんが居る」と大騒ぎしていたのだが、ここ数年は私以外振り返る者もいない。
カミさんは以前「熱帯魚にすればいいでしょう」と言ったこともあったが、熱帯魚はイケナイ。熱帯魚はサカナであっても魚でない。美しくキレイだと思うが、魚の匂いがしない。ペットショップの熱帯魚の水槽の前で見とれてしまうことはしばしばだが、身近に置いてみようとは思わないのだ。
壁際に、2mくらいの細長い水槽を置き、ザリガニやドジョウ、カニ、フナ、メダカ、オイカワが群れる姿を毎日見られたらどんなに素敵だろうと思うことがある。歳のせいなのだろうか? 少年期を過ごした川から抜けられないでいる。
いままで、いろんな生き物を飼ってきた。飼っては死なせ、飼っては死なせの繰り返しだった。川魚はもちろんカブトやクワガタなどの昆虫。トカゲやヘビ、イモリ..............。ほとんどは母親に呆れられながらだった。我が家に居着いたネコがくわえて来たコウモリやモグラも飼ったことがある。
今でこそ釣った魚をリリースしているが、今まで奪ってきた命は数知れない。懺悔をするつもりは無いが、奪った命を無駄にしたくないと今更ながら思う。
数年後、閻魔大王の命により、血の池地獄や針山を彷徨っているとき、もし、天上から一本の糸が降りてくるなら、蜘蛛の糸より
PEラインにして欲しい。
合掌
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